おおたとしまさ著『ルポ塾歴社会』（幻冬舎新書）を読了。東大合格者が中高一貫校で占められる背景や塾歴で学歴が決まる現状を描いた一冊。
　東京では中学受験がスタート。
　ただ子どもたちにとっては合格がゴールではない。
　難関中の合格発表を見届けた日に、東大受験塾「鉄緑会」に申し込み、６年間の戦いが火蓋を切る。難関中に合格した直後なら入塾試験が免除されるからだ。
　有名中学受験塾から東大など超難関大学専門の受験塾へ。
　この塾歴が今のエリートを作っているという現状は、残念ながら無視できない。「うちはそこまでできない」という家庭でも、大学受験ではこうした子らと戦うのだ。
　２年後には受験生人口が減る。
　５年後にはセンター試験がなくなる。
　それに伴い大学入試の中身や中高６年間で教える内容が大きく変化するのは確実だ。それでも塾から塾へという塾歴社会は存在し続けるに違いない。
　早くも今年の中学受験から試験内容に変化が生じている。
　英語や記述を課す学校の増加。
　その是非は個々の保護者に委ねるが、「住む世界が違う」「うちには関係ない」とスルーしてしまってはいけない現実ではないだろうか。